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【まことのFACT】中国のアカデミアは熾烈な研究費争いを繰り広げている!? makotosfact2

今年度から中国マーケットを担当し始めたので、早速現地に出張して現場を自分の目で確かめてきました。中国に対しては兎角間違った情報や認識が流れてくるので、先ずはお客さんにとにかく会うと大号令を出し、上海地域のお客様6名とお会いしてきました。まだまだ足りないので、今年度は毎回の出張で必ずお客さん訪問をしようと思います。

中国はとても広いので、上海地域と言っても南京(上海から北西300キロ程度)まで含んでおり、3日間であっちに行ってこっちに行ってと大忙しでしたが、やはり現地でしか聞けない大変貴重なお話をいただいたので、このブログで共有させていただきたいと思います。

今回お会いした中国のお客様のプロファイルは以下のとおりです。

  • 上海交通大学工学系 准教授
  • 上海交通大学情報学系 准教授(日本で博士号取得後、名古屋大学でポスドクを1年経験)
  • 大学附属病院 医師
  • 南京大学 准教授
  • 南京情報系大学 教授
  • 南京農学系大学 准教授

上海交通大学というと何か運輸関係の大学と想像してしまいますが、中国では知らない人はいない超名門総合大学です。参考として、THEアジア大学ランキング20位の大学です。(ちなみに、東京大学8位、京都大学11位、大阪大学28位)南京大学は17位です。南京では小規模の大学のお客様とお話が出来たので、大規模の大学と小規模の大学に加え医師のお話を伺う事が出来、初回のヒアリングとしてはかなり満足がいくものでした。

上海オフィスの中国人スタッフにアポ取りと通訳(英語が出来ない方がいた場合に備え)で同行してもらったのですが、上海交通大学と南京大学は全て英語でお話が出来ました。それ以外は全て通訳してもらったのですが、やはり大学のレベルと英語力は比例するものだと実感しました。また今後は中国語を勉強して、一人でも中国人のお客さんとしっかり話せるようにならないと、本当の情報は得られないなと痛感しました。これはこの先2年の課題と目標です。

さて中国のアカデミアは今どの様な状況にあるかというと、議論するまでもなく超上昇志向ですね。悲しいですが日本と真逆です。それでは予算とポストがふんだんにあるのかというと、実はそうでもないようです。勿論予算を取れた人はかなり余裕がある感じはしましたが、地方大学だったり小規模の大学(中国の大学は全て国公立なので私立大学はありません)の研究者は必死に着いて行っている感じです。

「予算が取れなかったら本当に研究が出来ない」という嘆きの声を聞いた事は日本でも何度もありますが「3年間研究費が取れなかったらクビになる」や「年1本の論文しか発表できなかったら降格させられる」と嘆く教授(ポスドクや任期付きの助教ではありません)にお会いした事はありません(恐らくゼロという事はないかもしれないですが、限りなく確率が低い気がします)。

中国の研究者はえげつない程の競争にさらされており、その評価指数はかなり「研究費」と「論文」が占めています。どちらかというと研究費を獲得するために論文を書きまくっているというのが現状です。また国の研究費を獲得すると一部自分の給料に出来る(これは各大学の方針によるので、一概に何%とは言えませんが、日本には無い制度です)ので、血眼になり申請書を書くようです。また中国では「人間関係」も重要な要素なので、適切な人脈作りは研究者として生き残るために不可欠だと感じました。

日本だと問題になりますが、自分の研究費申請書を誰が査読しているのかを知り合いの研究者に聞きまくるのは当たり前のようです。実際打ち合わせ中にお客さんのWeChat(中国版LINE)アカウントにその問い合わせが来ており、見せてもらいました。研究費も日本と似ており、科研費に相当する中国国家自然科学基金委員会(NSFC)による基礎研究重視の「一般プロジェクト助成」、若手支援を目的とした「青年科学基金プロジェクト」、大きな成果が期待できそうな研究に重点的に資金配分する「重点プロジェクト」など、基礎研究をサポートする研究費は総額約4000億円相当です。中国の高等教育に所属している研究者数は75万人程度で、日本が30万人程度ですので、予算規模は日本と似たり寄ったりかなと思います。

日本のJSTと似たような組織である科学技術部(MOST)によるトップダウン型研究もあり、「国家重点基礎研究発展計画(973計画)」が500億相当の予算を配分しています。他にも様々な予算があるようですが、基礎研究に重点的配分をしている予算は大体この程度だと思います。

ここで皆さんには一つの疑問があると思います。「あれ、中国の研究費予算ってこの程度なの?」私も同じ疑問がありました。というか今もあります。この答えはこれから探します。ただ思っている以上の潤沢な予算が中国にあるわけではなく、だからこそ熾烈に争って勝ち取る必要があるようです。3年負けたら降格だって減給だって、時には解雇だってあります。

必死に研究をして論文を書きまくり、年度初めは申請書を書きまくり、コネを駆使して採択率を上げようとする。その合間に学生の面倒を見る。程度の違いはあれ日本と似ています。ただ唯一にして最大の違いは、ポジションや給料が容赦なくなくなる中国と、教授になってしまえば比較的腰を据えて研究に従事できる日本です。中国は論文が必然的に増える仕組みですね。給料に関係してきますから。

これがいいか悪いかの議論ではなく、中国の現状だというのが知れたのが今回の出張でした。まだまだお伝えしたい内容があるので、次回のブログでは研究分野別でどのような違いがあるか綴ってみたいと思います。

この記事を書いた人

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湯浅 誠

カクタス・コミュニケーションズ株式会社、代表取締役。1978年千葉県生まれ。大学を卒業後に渡英。その後インドに渡り、Cactus Communicationsに就業。現在は日本法人であるカクタス・コミュニケーションズ株式会社の代表取締役を務める。

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